【原型制作】 素材をシリコンで型取り

久しぶりにまとまった時間がとれたので、今日はシリコン型を取ってみました。型の取り方は色々ありますが少し書いてみます。

今回紹介するのは比較的シンプルな素材を使った簡単な型取り方法です。複雑な形のものや、極小、巨大なものになると話は変わってきますが、参考になれば幸いです。

 

◆型は円形の割り型

粘土に原型の片面を埋めて、片面ずつシリコンを流す方法もありますが、今回は割るラインの位置がそこまで厳密ではないので、全体をシリコンで固めてから割る方法にします。最終的な型の形は円形になります。

四角い型で作ると、型を締めたときに隙間ができやすくなりますが、円形だと側面から均一な力で締めやすくなり、隙間ができにくくなるのがメリット。

 

◆型を取るための素材を用意します

今回は原型の素体を作るための型取りです。ワックスを使ったことがある人ならわかると思いますが、ワックスで原型を作る場合にはある程度素になる形があると、非常に作りやすくなります。

粘土と比べると仕上げはしやすいですが、盛りつけがしにくいので作りたい形に近い素体を用意するのがポイントになります。

この原型の場合だと、上胴部分と目の部分の素体がまず必要になってきます。そのままの形のワックスがあれば一番なのですが、無いので似た形のものを型取りして脱型し、その型にワックスを流し込んで蝋転換します。

単純な立方体などの形であればワックスの塊から切り出して作ることもできますが、今回は家にある使えそうなもので型取りしてみようと思います。 

 

◆素材はそのままでも、作ってもOK

本体部分は紙コップ、目の円柱部分はマジック、眼球部分は以前作っていた原型の一部が使えそうだったので、それを利用します。眼球の白目にあたる部分にはビー玉を使用し、その上に直接ワックスを盛りつけて作っています。

以前の原型では前面のみしか使用しない設定だったため、背面はビー玉がむき出しの状態になっていました。とりあえず背面と側面に肉付けをすればそのまま使えそうなので、ワックスを盛りつけます。

 

シリコン型取2文字

◆素材原型用であれば、素材や作り方も自由

中心にビー玉が入っていると、ベースの形が造形中に崩れにくくなるため、作りやすくなります。骨に肉付けしていくと筋肉部分が作りやすくなるのと同じ。

ワックスは適当にニッパー等で砕き、盛りたい部分に溶かしながら盛り付けます。ワックスとワックスを溶かし混ぜるようにするのがポイント。

ワックスペンの温度設定はペン先の長さや材質によって変わりますが、一般的なものであれば半分のラインかそれより少し高めにしています。

広範囲に多く盛る場合は、温度をさらに上げて平たいペン先を使用すると早いです。

 

シリコン型取3文字

◆素材用原型は少し大きめに、表面の造形はシンプルにします

写真だとちょっとわかりにくいですが、とりあえず眼球部分の造形はこんな感じ。盛り付けた後にサンドペーパーで形をある程度整えて、その後スパチュラで成形しています。型を取って蝋転換すると少し縮むため、気持ち大きめのサイズになるようにします。

 

◆原型に、後に湯口となる棒を取り付けます

原型が完成したら、湯口になる部分を決めます。複雑な造形が表面に無く、後で湯口のバリを取り除きやすい場所にします。蝋転換したときに、ワックスが型全体に流れやすくなるかどうかもポイント。

今回の眼球原型の場合は、瞳と瞼部分が複雑な形状なので避けます。また、型にしたときに上方向や横方向に瞳部分がきてしまうと気泡がたまりやすくなるため、型にしたときに瞳部分が下向きになるよう設定します。

この型の場合は、シリコンを流す方向と蝋転換後に蝋を流す方向が逆になります。原型を支える棒が型になった際に湯口となるため、それをイメージしながら作業します。

位置が決まったら適当な棒を原型に取り付けます。

ある程度の太さと強度があり、加工しやすい素材を使います。プラ棒などがあると便利ですが、今回は無かったため、使い古しのサンドペーパーを丸めて作りました。紙コップなどを加工してもOK。

原型と接着する際は接着剤ではほぼ付かないため、ワックスを少量盛って接着します。原型に棒が入る最小限の穴を開けてそこに棒を刺し、一部を溶かして仮止めをします。その後ワックスを適量盛り足して、しっかり接着します。

(付け方や素材選びは原型の大きさや形によって臨機応変に。安定しにくい原型や、シリコンを割るときのガイドを増やしたい場合は棒を複数立てることもあります。今回は単純形状なので1本のみ。)

 

シリコン型取4文字

◆接着素材は接着剤が楽ですが、ワックスも使えます

原型となるマジックの固定にも、後で綺麗に取り外せるように、今回はワックスを使用しました。穴の開いた段ボールにワックスを盛りつけて固定しています。棒付きの眼球原型も、ワックスで段ボールに接着しました。

段ボールには予め小さな穴を開けて、ワックスの食い付きが良くなるようにしています。棒から抜ける心配がある場合は、棒の表面に浅い切り込みを入れてから接着すると食付きが良くなります。

 

◆原型の固定が終わったら、器となる容器や台紙を用意します

今回は台紙に段ボールを、器には紙コップを使用。大きさの目安は小ぶりの原型であれば周囲1.5cm程度間隔がとれる物。大きい原型であれば2~4cm必要になります。

壁ギリギリに原型があると、外からの圧力で歪みやすくなるので注意。接着や脱型のしやすさを考えるなら紙コップがおすすめです。

割るのが複雑になりそうな原型の場合は、透明のコップを使用すると外側の面から原型を確認しやすくなるため、ガイド設定がしやすくなります。台座に接着する場合は底面をくり抜いておきます。

 

◆型取りする原型の詳しい情報をシリコン型に転写させます

シリコン型に後で情報を書き込もうとしてもマジック等で記入することが難しいため、予め文字や情報をコップの内側に書いて型に転写させます。(文字は反転するため、鏡文字で記入。)

紙コップの内側には原型の名前と部位の名前、型を割るときのガイドライン、シリコンを注ぐときの目安ラインを書きます。

今回は底面のみに書きましたが、複雑な形になる場合はコップの側面にも割るときのガイドラインを書きます。台紙には原型の向き・名前・作業時間なども書き込んでおくと便利です。

 

◆終わったら、紙コップを台紙に接着します

棒部分はくり抜いていない紙コップにシリコンを直接注いで、原型を上から沈ませて型を取ります。倒れやすい大きさや形状でなければ台紙はいりません。

台紙に接着するものはしっかり接着して、確実にシリコンの漏れを防ぐようにします。

瞬間接着剤が便利ですが、硬化時に煙が発生したり、高温になることが多いため注意して下さい。煙は有害なため、急ぎでなければボンド等の水溶性接着剤やワックスの使用がおすすめです。

底面に凹凸ができて置いたときに不安定になる場合は、テープなどを横に倒してその上に置くと安定しやすくなります。

 

シリコン型取5文字

◆型の準備ができたらシリコンを準備します

今回使用したのは信越シリコーンさんのKE-12です。硬化後は比較的柔らかくしなやかな仕上がりになります。シリコンにも様々な種類がありますが、自分で型を割って加工することを考えると、このシリコンが使いやすいです。曲がるので脱型もしやすいのが特徴。

四角い型や大量に複製したい場合は破損しにくい固めのシリコンが向いています。また、食品用の原型や安全性に拘りたい人は食品用のシリコンを選んでください。

 

シリコン型取6文字

◆使いたい分だけ取り出し、硬化剤を混ぜます

シリコンを取り出した後は、なるべく缶の口を綺麗に拭き取っておきます。その後、添付されている硬化剤を加えてよく混ぜます。硬化剤の量を少し多めにしたり暖かい場所で作業をすると、早く硬化しやすくなります。

沢山の量を一度に混ぜるときは、ケーキにクリームを塗るときに使うパレットナイフなどがあると便利で簡単。混ぜ足りないと硬化不良になるため、均一になるように手早く混ぜます。

 

シリコン型取7文字

◆混ぜ終わったら、原型の表面に少量垂らします

いきなり勢いよく注ぐと、衝撃で型が倒れたり、原型が破損する原因になるので注意。ごく少量を原型に垂らして、まず薄く全体を覆うようにします。こうすることで脱泡機を使用しなくても原型の表面に気泡が付きにくくなります。

 

シリコン型取8文字

◆慎重に注ぎます

原型の2/3程度が埋まるまでは原型に衝撃を与えないよう、慎重にシリコンを注ぎます。混ぜたときのヘラや棒に伝わせるようにすると、失敗が少なくなります。

 

シリコン型取9文字

◆硬化を待ちます

シリコンを入れる目安線以上のところまで流したら完了。なるべく平らな場所に置いて硬化させます。傾いたまま固まると後で蝋転換するときに傾いたまま作業することになるため、注意してください。

棒状原型のほうは、シリコンが入ったコップに先端を沈めた後、動かないようにガムテープで固定しました。室温23℃の場合、硬化時間は通常でおよそ8時間程度です。

次回は硬化したシリコン型を割る作業をできるだけ詳しく書いてみたいと思います。

やったことがない人も、是非やってみてください。

 

  

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